2010年5月20日木曜日

坂本龍一の声の世界

ふと、私の息子は、私が話しかける日本語しか普段耳にしていないんだ、と気づく。
日本にいればいろんな人日本語が聞こえてくるけど、ここにいる限り、この子はフランス語のほうがよく耳にする音だ。

私も普段、自分の勉強のためと思ってフランス語のラジオやテレビを聞きながら息子と遊んだりしているけど、たまには息子にも私以外の日本語の音をちゃんと聞かせてあげないとなぁ、と思った。

そこで、日本にいるときよく聞いていたラジオ局J-waveのサイトからポッドキャスティングできるものを探してみた。この子は母親の女性の日本語しか知らないから、やっぱり日本語の男性の声がいいだろうな、と思っていたら坂本龍一の番組があった。

坂本龍一も近年すっかり『白髪の翁』という風貌に近づいてきたけど、声は全然変わらない。中学時代に、坂本龍一の番組を夜10時頃から毎週ラジオで聞いていたことがあったなぁと、遠い昔を懐かしく思い出した。

暫く日本語を聞いていない環境で彼の声を聞くと、『教授』の声にはいっそう深い味わいがある。一言で言うと仏教的。大晦日に鳴り響く除夜の鐘の音というか、蛙飛び込む水の音というか、お経の唱えに癒される霊の気分ってこんな感じなのかなぁーと思うくらい心地いい波動。「えーとー」「あのー」といった相づちと、「いやーこれすごいですねー」という感動を表す言葉を、すべて一定のトーンを保ち続けて話せる人って、そうは存在しない。息子も番組の冒頭に番組スポンサーの名前が英語風に読み上げられたときにはちょっとビックリした反応を見せていたが、『教授』の声が淡々と始まると一人遊びに没頭し始めた。

番組の後半で教授は、津田大介さんというインターネットにお詳しそうな方と、インターネット時代における著作権について対談していた。聞きながら、坂本龍一ってずいぶん日本のインターネット業界に貢献したんだなぁ、と思った。最近のtwitterのこととか、電子書籍についても話していて、今の世の中についてもいい勉強にもなった。息子のために、と思って聞き始めたのだけど、なによりも私自身が日本語にじっくり耳を傾けることに飢えていたようだった。

2 件のコメント:

  1. わたしも教授の声好きよ。でも戦メリのときとか、「教授のセリフに日本語の字幕をつけろ!」みたいな声がでていたというから(本人談だけど)、発音不明瞭の代名詞みたいな感じ?

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  2. そうなんだ(笑)

    でもJ–waveってどうも英語ぽい日本語を話す人たちがたくさん出ているから、教授の声ってほんと希少価値があるなーと思ったよ。

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