2010年5月5日水曜日

イケメン俳優とメトロでお散歩

あるときテレビを付けたら、いろんな本を紹介する番組をやっていた。
ふと夫がその出演者の話を聞いていて、「多分この人、ジャン・ギャバンとか、ジェラール・デパルデューとか将来のフランス映画を代表する俳優になると思う」とぽつりと言った。

それが、ロラン・ドイチェ(Lorant Deutsch)。ジョニー・デップみたいに黒ふち眼鏡が似合う好青年。俳優さんだけど、今はほとんど舞台が中心のお仕事らしい。夫は彼の演技を見たことは一度もないのだが、「彼の言っていることは賢い」らしい。

ロラン・ドイチェは大学で哲学や歴史を学び、かなりの『歴史オタク』。そんな彼が最近本を出版して、これがフランスでベストセラー入りした。『メトロノーム』というタイトルで、地下鉄メトロ駅の歴史をまとめたもので、地下鉄の各駅からパリの歴史を紐解くという、ちょっと好奇心が踊る内容。

フランス語まだあんまりよくわからないしなぁ〜と思っていたのだけど、駅の売店でちらりと中を見たら、なんとか私にも辞書があれば十分読めそうな文体。しかも、駅ごとにまとめられた各エピソードが短い。夫も読みたがっていたので、早速購入した。

イントロダクションを読んで、ちょっと胸が高まる。

以下抄訳。
15歳のとき、初めてパリでの生活が始まった。(中略)全くのよそ者であり、知り合いもほとんどいないこの町で、僕の初めての友達となったのは、通りの名前だった。

私も初めてヨーロッパの都市を旅行したとき、道や通りの名前に助けられたことがある。寒い冬に旅行をしたときなど、もしかして迷ったのかもしれないと不安になりながらも、ふとその道の名前が「アポリネール通り」や「ボルテール通り」だったりすると、あ、この辺りにあの詩人や哲学者も住んでいたのかな、と想像する。そう思えるだけで、知らない土地でさまよい歩くことに、ささやかな安堵を感じたものだった。

自分の小さな喜びと同じことを感じる人がいるなんて!恋が芽生えますな〜。
ロラン・ドイチェとメトロに乗ってパリをお散歩するのを妄想しながら、辞書を片手にがんばるぞ。

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