2010年5月17日月曜日

赤い女たち

昼寝からぐずって起きだした息子をなだめようとテレビを付けたら、ちょうどアート専門チャンネルのarteでマルタ・アルゲリッチの演奏が始まるところだった。曲はベートーベンのピアノ協奏曲第2番。初めて聞く曲だったけど、五月の風ようのな、からりとさわやかな演奏だった。

この曲は息子の波長にも合っていたようで、最初すこしぐずっていたものの、だんだん落ち着いてきた。赤ちゃんが泣きやませる音楽にクラシックがいいとか、モーツアルトがいいとか、と言うけど、単に音楽が持つ波長と赤ちゃんがもつ波長が一致すると、赤ちゃんは泣き止むんじゃないかなぁと思う。息子がまだ生後一ヶ月頃、泣き止まないので赤ちゃんのためのモーツアルトというCDを聞かせてみたけど、まったく効果なかった。今ではあのモーツアルトを聞くと子供がかえって泣き出すような気がして、私はあんまりモーツアルトを聞かなくなった。

演奏は去年の夏スイスのヴェルビエ音楽祭(Verbier Festival)のときの録画放送だったが、アルゲリッチがすっかり白髪になっていて、それにちょっと驚いた。でも長くのばした白髪とは対照的に、彼女は口に真っ赤なルージュを引いていて、それがとってもかっこよかった。

聞きながら、私はやっぱりベートーベンが好きなんだなぁと思う。彼の音楽を聞いていると、自然に体が軽くなるというか、第4チャクラ(胸)あたりがふわっと開いていく感じがする。こういう演奏にはめったにお目にかかれるものではないから、今日はラッキーな日なんだろう。

後半は若手の中国人ピアニスト、ユジャ・ワン(王羽佳 Yuja Wang)の演奏。彼女はノースリーブの真っ赤なドレスで登場。『のだめカンタービレ』に登場する、お買い物好きな天才ピアニストのモデルは彼女かもな、と思った。超絶技巧を紡ぎだすその秘訣は、彼女の上腕筋かな!?肩から手首までにかけての彼女の腕の筋肉は、ちょっとしたプロゴルフ選手ぐらいありそう。小麦色の肌が真っ赤なドレスとうまくマッチして、またなんともセクシー。

フランスは今カンヌ映画祭期間中だから、よくテレビやニュースでレッドカーペットを歩く艶やかな女優さんたちを目にする。でも、今日のピアニスト二人はどんな女優さんたちよりも個性的で刺激的だった。やっぱり女は『赤』で勝負しなきゃね。ちょっと子育て中の私には縁遠い色だけど。

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