2011年1月11日火曜日

イギリスの大学もここまできたのか…。

アラン・ド・ボトンが書いた、 イギリスの大学における人文科目教育の衰退問題について書かれた論評に興味を持った。私がイギリスの大学に籍を置いていた90年代、すでに学生の文系科目離れが目立っていて、日本で英文学科専攻だった私は、とりあえず名前の通った私大だったため、就職にもあまり不利(特に有利ということもなかったけど)とはならず、日本に生まれて幸せだなぁと思ったものである。筆者アラン・ド・ボトンという哲学者を今回初めて知ったけど、鋭い視点で大学教育について述べている。

読んでいて、ドキリとしたのはこの部分。
However, right now, at this difficult moment in the history of British universities, there is a need to acknowledge that at least some of the woes that have befallen academics is squarely their own fault. To put it at its simplest, academics in the humanities have failed to explain why what they do should matter so much. They've failed to explain to the government, but this really only means "us" - the public at large.

(抄訳)
「 しかしながら、英国の大学史上困難な時期にある現在、少なくとも人文科目の学者にふりかかる災難は、明らかに自分たちの落ち度であると認める必要がある。簡潔に言い換えるなら、学者たちは、自分たちの仕事がなぜ社会に重要なことなのかについて十分に説明しそこねた。政府に説明しなかっただけでなく、さらに言えば『私たち』つまり『公に』向かってもそういった説明をしてこなかったのだ。」

 人文科目(哲学、文学、アート論)の研究が社会にとって重要だというだけでなく、それがどうして重要かを十分に議論するなんて、可能なのだろうか?凡人の私には「なんとなく重要」としか言いようがないのだけど。

この問題は、イギリスだけでなく世界的な問題だと思う。日本でも、フランスでも、アメリカでも。とりあえず、私は息子に「なんで本を読まなきゃダメなの?」と質問されたときの答えを今からゆっくり準備しておこう。

2011年1月9日日曜日

産業スパイ

 え、ルノーに産業スパイが!中国に電気自動車の機密を盗まれたって?

結局「中国」に機密が漏れたのかどうかははっきりしないままになってしまったけど、この話題で「中国」のことが囁かれるなんて、ちょっと必要以上に騒ぎ過ぎているような気がする…。たしかに、中国は日本にとってもいろんな意味で脅威なのだけど、フランスがそれを言える立場にあるのかなぁ…と疑問に思った今日この頃。

毎日新聞によると、フランスメディアは「中国に産業スパイの慣習がある」と騒いでいるらしいが、実は、1月8日付けのルモンドにWikiLeaksが発信元の面白い記事が載っている。


以下、一部抜粋。

La France, plus encore que la Chine et la Russie, serait le pays le plus actif en matière d'espionnage industriel chez ses alliés européens.
 フランスは、中国・ロシアよりも、EUの中で産業スパイ活動が最も活発な国かもしれない。

 "La France est l'empire du mal en ce qui concerne le vol de technologies, et l'Allemagne le sait"
 「フランスは、テクノロジーを盗むことに関しては悪の帝国であり、ドイツはそれを知っている。」

Wikeleaksって、やっぱりすごいかも。


2011年1月5日水曜日

今年の漢字は「自」

今年の私の目標は、「人と比べない」。漢字一字で表すなら「自」。
人と他人を比べての自分ではなく、「自ら」の視点で自分を評価すること。

昨日1月4日は、日食と山羊座の新月が重なるという占星術的にはパワフルな日だったそうで、そのせいかは分らないけれど、私は昨日ちょっとしたことで気落ちしてしまい、何もやる気が起きなくなった。仕事から帰宅した夫に、「ごめん、今日は夕飯が作れない…。」と切り出したら、夫はさらりと「いいよー、パンとチーズ食べるから。」と言ってくれた。(最近夫は仕事がうまくいっていて、比較的機嫌がよい)とにもかくにも、夫に心底感謝した日でもある。

さて、昨晩はゆっくり寝て、今日は息子を散歩に連れて行ったり、たまった家事を片付けたりと、とりあえずすっきりしない気分のまま、やれることだけをやり…。そしてふと、自分のモヤモヤの原因は、自分を人と比べてしまうことだと気がついた。

去年後半からずっと気にしていたのだけど、一歳半になった息子がまだ歩かない。 「遅い子もいるから心配しないで」というのが親や友達、インターネットを通しての情報だったけど、先月一年半検診に行ったら、小児科の先生に「この月齢で歩かないなんて、おかしい!」とばっさり切り捨てられたときには、ショックだった。(日本の先生だったら、もうすこしオブラートに包んだような言い方しないかなーと思ったりもした)

夫も気にするな、と気遣ってくれ、息子もなんだかんだ言っても楽しそうにつかまり立ちをしているので、気にしないようにしていたのだけど、昨日ふとしたことで、うちの子と他の子を比較する「負のスパイラル」がスタートし、とうとう何も手がつかなくなるまで落ち込んだ。

自分の息子を他の子と比較すると、結局母親である自分を責め、自分はなんてダメな母親なんだろうと、自分の悪い所ばかりに目についてしまう。

「自分の視点で自分を評価する」という目標は、私のためにたてた目標だけれど、しいては息子のためでもある。息子にも、息子らしく育っていってほしいから。