2012年2月12日日曜日

ラブリーでダーリンな英国

ブログのタイトルを変えようかと思いつつも、とりあえず英国に無事上陸し、やっと落ち着いてきたので、今の状況だけ書き残す。

当初、フランス人の夫と出会ったとき、夫は明らかに英国を毛嫌いしていた。マーマレードという苦いジャムを口にできるなんて、味覚が狂ったイギリス人にしか出来ないことだとか、天気予報でイギリスが雨雲に覆われているのを見ると軽く「ああ、またイギリスは雨。かわいそう〜!」とうれしそうに嗤ったり、ここまで異国の文化をバカにして日常生活の憂さ晴らしをしている夫を見て、普通に育った純日本人の私にはできない芸当だわ、と思っていた。

ところが、今はそれが手のひらを返したように180度変わった!
私もびっくり。夫自身もびっくり!!

さすがにジャムは甘いものだと洗脳されている部分は変わらないけれど、今の夫の大好物はスコーン。イギリスに来たら、おいしいフランスのバゲットを恋しがるかと思いきや、そのスコーンがあるから「別にフランスの食べ物も恋しいともあまり思わないなー」とさえ言う。

それは私も同じ意見だ。イギリスの食べ物は美味しくないという先入観が手助けしてくれているのかもしれないが、ケンブリッジの食事情は思ったほど悪くない。レストランとパブで食事をしたけど、まあまあおいしかった。しかも外食するとパリよりは少し安く済む。パリ郊外に移住したときと違って、期待値が最初から低いと、なんでもありがたく感じてしまうものなんだな、と改めて学んだ。

まあ、異国の物珍しさに心躍るのは最初の3ヶ月ぐらいで終わってしまう可能性が高いけれど、とりあえず私も夫も一ヶ月ケンブリッジで暮らしてみて、満足している。

夫は最初にケンブリッジを訪れたとき、ホッとした感覚があったという。街中は観光客でにぎやかな雰囲気があっても、決してパリのようにうるさくない、という。無駄にクラクションを鳴らしたりする車もないし、平穏な気持ちで街を歩けるそうだ。私も言われるとそうかなと思う。

また夫が面白がっているのが、イギリス英語。
引っ越した当初、水道や電気やらの手続きを電話ですることがあったのだけど、
「名前は?」と聞かれて「○○です。」というと、相手から必ず"Lovely"と返事がある。
次に「住所は?」と聞かれて答えると、また「ラブリー。」
次に「郵便番号は?」と聞かれて、また「ラブリー。」
ただ必要事項を答えただけなのに、何で水道局のおじさんから「ラブリー」って言われるんだ?と夫は小学生のように喜ぶ。確かに、英語を本と学校の授業で学んできた私と夫にとっては、「ラブリー!」と言われると、なんだか「きゃ、素敵!」とか、おかま言葉っぽく頭の中で変換してしまうのだ。

またあるとき夫が細い路地の街角で人とすれ違うときに、相手の女性に道を譲ったら、
「サンキュー、ダーリン」
と言われ、「あのおばさん、赤の他人に向かってダーリン??」
とまた大笑い。

確かにイギリス人は"Lovely"と”Darling"を大盤振る舞いで使う。その昔、夏目漱石がイギリスに留学した時代にも、イギリス人はこういう言葉を頻発していたのだろうか?堅物なイメージがある作家がイギリスの街を歩き、「ラブリー」とか、「ダーリン」と言われて、苦虫をつぶしたような顔をしているところを想像して、少し笑ってしまった。

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