2011年12月25日日曜日

パリ・オペラ座界隈

この2年間のフランス生活で一番お世話になった地区と言ったら、日本食レストランがひしめくパリ・オペラ座界隈だ。この周辺は在仏日本人の胃袋みたいなところ。でもうれしいことに行列を作っているのは日本人だけじゃなく、現地のパリッ子も半分以上を占める。うちは夫が日本食好きということもあって、ついパリまで出てくるとどうしても日本食レストランに足が向いてしまう。初めてここで日本食を食べたときは、「高い料金を払って、このお米の味は何?」と少々お米の質がっかりしたけれど、そのうちパリで食べられるお米の味に慣れてきた。海外で現地の味を再現するのに一番苦労するのは、水と原材料の質が物を言う主食の味なのかもしれない。夫も有名フランス料理店やパン屋が軒を連ねる東京でさえ、フランスの現地並みにおいしいパンやクロワッサンを見つけるのには苦労していたから。

<レストラン編>
善 (Zen) 
8, rue de l'Echelle 75000 Paris
子供連れに最適の日本食レストラン。店内が広いので、ベビーカーで入ってもスペースに余裕がある。おそらく、ここの店員さんは全員日本人のようで、日本式の無駄口を叩かずきびきびと事務的な接客が気持ちいい。子供連れだと分ると、言わなくても子供用の小さいフォークを出してくれたりと、気が利く店員さんもいる。日曜日にも開店していて、12時開店と同時に入れば、予約しなくても必ず席は確保できる。餃子がおいしい。

遊 (You)
11 Rue Sainte-Anne, 75001 Paris
少々お高い。でも美味しい。特に焼き魚系の定食が美味しいと思う。おにぎりがメニューにあって、息子にはおにぎりを注文できる。小柄な中年日本人男性のテキパキした接客も好き。

Aki 
11 Rue Sainte-Anne, 75001 Paris
値段的にお手頃感がある。やきそば、お好み焼きなど、ソースが決め手となるメニューが置いてある。息子にはいつもかやくご飯を注文していた。やきそばは日本人女性にはちょっとボリュームがある感じ。ここの難点はZenのように場所を広くとっていないこと。ここは客を詰め込むというか、客同士の間にあまりゆったりしたスペースがない。子供連れだと、早く食べて帰ろうという気になるレストラン。

Chez Miki
5 Rue Louvois, 75002 Paris
高いけど、おいしい。日本食の繊細な味が表現できているお店だと思う。でも量が少ない。フランス人の夫にはもっと物足りない感は強かったようだ。

<お弁当屋>
ACE GOURMET BENTO
18 Rue Thérèse, 75001 Paris
韓国系のお弁当屋さん。テイクアウトもできるし、その場で食べることもできる。
最初「お持ち帰りですか?それともここで食べますか? Vous emportez, ou mangez ici?  」という基本的なフランス語が韓国なまりでよく分らなくて、3回ぐらい聞き返してしまった。でも、ここの店員のお姉さんはこんな私でも愛嬌よく接してくれた。私はここに置いてあるジャガイモをスライスしたサラダが大好きで、よくお弁当を買いに行った。あるとき、「あ、また来てくれたんですね〜」なんて顔を覚えてくれて、ちょっとうれしかった。

十字屋
46 Rue Sainte-Anne, 75002 PARIS
日系のお弁当屋さん。別にまずくはないのだけど、一つ不満を言わせてもらえれば、韓国系のACE GOURMETのお弁当箱のほうが大きいのに、十字屋のお弁当のほうが少し割高なのはなぜ?あと、ここも店内で飲食できるけど、どうも落ち着ける雰囲気ではなく私はいつもお持ち帰りにしていた。でもここはお昼の時間帯はいつも大行列。好みの問題なんでしょうね。

Aki Boulangerie
16 Rue Sainte-Anne, 75001 
日系の菓子パン屋さん。食べたことはないけど、抹茶ケーキなども扱っていてカフェっぽい店内でお茶もできる。お弁当もある。ここには私が大好きな焼きそばパンがある!日本のコンビニで売っている焼きそばパンより2倍ぐらい大きくて、うれしい。

<その他>
ボヤージュ・ア・ラ・カルト Voyage a la carte 
‎48 Rue Sainte-Anne, 75002
日系の旅行代理店。パリ、フランス国内のツアー、格安航空券などを主に扱っている。それと、フィギュアスケートEric Bompard杯のチケットも毎年ここで扱っているようだ。私が見に行った2011年には、日本人向けにとっても良い席を大量に確保していて、普通に買うより安く購入できた。(一般販売66ユーロのS席が57ユーロになっていた。)2010年に浅田真央選手がEric Bompardに出場したときには、チケットの売れ行きもスゴかったそうだが、2011年に彼女が来なかったときの売れ行きはいまいちで、「日曜日のエキシビジョンもチケットが余るかもしれないので、半額近い値段で販売しますので、よかったらどうぞ。」と言われた。ちなみに2012年3月にニースで開催される世界選手権のチケットも扱ってますね〜。私は行けないけど…(涙)。

2011年12月10日土曜日

パリ症候群にならないために

『パリ症候群』という言葉はフランスに来てから知った。海外での生活を長く夢を見ていた人が、実際にその国に住んでみて現実を知り、幻滅するという症候群。私は夫からパリ郊外の様子、フランス人の傲慢さ…etcについていろいろと話を聞いていたせいか、深刻な『パリ症候群』になるほどではなかったけれど、それでも実際にパリ郊外で暮らしてみたことで、ショックを受けたことはある。それは、カルチャーショックというただの文化的相違からくる「ショック」ではない。「こんなことが普通に起きている場所に住んでいていいの?」という不安と落胆がまざったショックだ。

それでもパリは今後も世界中の人々を魅了してやまない都市でありつづけるだろう。そしておそらく、今後もパリで暮らしてみたいと思う日本人がやってくると思う。そうした人々に向けて、非力ながら私なりに、パリ症候群にならないために知っておいてほしいことを書こうと思う。

●まず、念頭に置いてほしいのは、日本に入ってくるパリ関連の情報の90パーセントは、パリの輝かしい光の部分だけだと思ってほしい。その光の中で暮らしたいと思うなら、日本でいう「庶民」の金銭感覚ではやっていけない。

●じゃあ、日本の一般庶民がパリ近辺で暮らすにはどうすればいいかと言うと、もちろんそういう大多数の層の人が手が届く範囲で住める場所はパリ市内でもパリ郊外でもたくさんある。でもその場合、近所の騒音、汚い歩道、アパートの質の悪さ、窃盗、もっと悪い場所で言うなら、乗用車への放火、銃撃事件、若者の麻薬取引を目の当たりにする可能性があることは覚悟しよう。(そして、家賃はケチらないこと。高い家賃のアパートの周辺は、こういうことが起こる確率が多少は低くなるから。)

●フランスで英語が通じないと嘆かない。それは日本で中国語が通じないのと同じこと。

●一度ぐらい財布を盗まれたりしても、嘆かない。日本人だけでなく、現地のフランス人でも同じ被害に一度はあっている。

●意地悪で嫌な人の数だけ、親切でやさしい人もいる。嫌な人しかいないと思うのは、まだあなたが良い人たちに会うチャンスに恵まれていないだけ。

●せっかく異文化に触れるためにフランスに来たのだから、日本人と群れるのではなくて、フランス人とだけ付き合おうと最初から決めないこと。それはそれで素晴らしい心構えかもしれないが、それはかえって海外生活の可能性の幅を狭めていることにしかならない。

●怒りは溜め込まない。嫌なことをされたら、公然と怒っていい。

●落ち込んだら、パリのあちこちにある美しいものを見よう。

***

私は2年間パリ郊外に住んでみたが、実際に経験した「ショック」だったことを挙げるとすると、

●新年が明けた元日の夜中に、近くの駐車場にあった乗用車が放火された。

●気温0℃近い厳冬の日に、ジプシーの女性がまだ一歳にも満たないであろう赤ちゃんを抱いて路上座り込み、物乞いをしていた。

●スーパーでビニール袋で包装されたズッキーニを買い、家で開けてみたら一本以外すべて腐っていた。レシートを持ってスーパーに「これを替えて下さい」と言いに行ったら、
「うちのスーパーは腐ったものなんて置いてないわ。よく見ないで買ったあなたが悪いのよ!交換もしないし、返金なんてできるわけないじゃない!」と言われた。

●パリの地下鉄でスリ未遂にあった。幸い何も取られなかったのだけど、スリを実行しようとした人はちゃんとした身なりの若い女性。私はその相手を睨み返したのだけど、相手はケロリとした笑顔で「あらー、失敗しちゃったわ〜」と開き直っていた。

●パリのオペラ通りにある銀行のATMでお金を下ろそうと思ったら、ジプシーの若い女性3人に囲まれて、お金を盗まれた。(この件はあとで詳しく書くつもり。)

●アフリカ系のおじいさんが、5、6歳ぐらいの女の子を抱えて路上でおしっこさせていた。人通りがない場所ではなく、バスも車も人もたくさん行き交う路上で。(違う場所で、2回も目撃してしまった)

●近所の公園の平日の昼間に、中学生ぐらいの男の子が数人、麻薬のようなものを交換しあっているのを目撃した。

●明らかにまだ免許を持てる年齢ではなさそうな若い男の子が、巨大な集合住宅の敷地内をバイクで爆音を鳴らしながら疾走していた。

最初にパリ近辺で日常的に起こっていることについて多少でも知識があれば、実際にパリに来て幻滅することも減るかと思って列挙してみた。改めて考えると、何て場所に住んじゃったんだろうな〜と思うけど、こうしたことの間に流れた日々の生活はとりあえず平穏だった。おそらく、私が独身で子持ちでなかったら、こういう環境でもこの現実は受け入れるしかないと自分に言い聞かせ、なんとかやっていけたと思う。でも、子育てをしている立場からとなると、この環境からは絶対に出なくてはならない、と真剣に思い悩み、奇遇にも来年早々にパリ郊外から引っ越すことになった。新天地はイギリスのケンブリッジ。

2011年12月9日金曜日

胎児の3D超音波エコーのリスクについて

昨日テレビのニュースでもやっていて、ちょっと気になった。

フランスの産科医協会(?とでも訳そうか。Les Collège Nationale des Obstériciens et Gynécologue Français)というところが、胎児への3D超音波エコー撮影のリスクについて警鐘を鳴らしている。胎児の脳、目、性器の発達に影響が出るそうだ。

アトランティコ紙の記事 (2011年12月7日付け)
「3Dエコグラフィー:親は喜ぶが、子供には危険」

3D超音波エコーを行うことで、胎児の奇形や問題を早期から発見できるということもあるみたいだけど、ただ単にお腹の中の赤ちゃんが笑っている顔が見たいから、というような理由で3D超音波エコーをやるのは、怖いのかも。