2011年10月31日月曜日

フランスの図書館

子供を連れてよく図書館に行く。日本みたいに子供をいつでも連れて行ける児童館というものがないので、つい図書館の利用頻度が高くなる。

私の住む街の図書館では、大人用と子供用と建物が別れていて、それがありがたい。とても小さな図書館だけど子供用の図書館なので、赤ちゃんや幼児がちょっと奇声をあげても、図書館のスタッフさんたちも寛大。ただ、うるさく騒ぐ小学生ぐらいの子がいると、彼らはちゃんと注意してくれる。この小さな図書館に常時5人ぐらいスタッフがいるというのは、フランスが「読書」ということに国として予算を充てているということなのだろうか?と思ったりした。(ただ、開館時間は日本に比べて週休3日で1日平均5時間と短い。)

しかも、ここの図書館のスタッフさんたちは子供好きなのだ。2歳になったうちの息子を見ては、「あ〜、大きくなったね〜」と声をかけてくれたり、暇なときには子供に本を読んでくれたり、歌を歌ってくれたりする。先日はある司書さんが、「とっても素敵な日本語の絵本もあるのよ」と言って、いそいそと特別閲覧用の奥の棚から絵本を出してくれた。それは、駒形克己という造本作家が製作した絵本で、子供に勝手にさわらせるのはもったいないぐらいの、「Blue to Blue」という美しい絵本だった。

魚のサケが川で産まれて、また産まれた川に帰ってくるまでの短いストーリーなのだけど、本を開いただけで、まるで自分がサケになったかのうような、不思議な感覚に包まれる。青という色彩を上手に使うだけでなく、サケという魚の視点から書かれた短いストーリーに、ついハッとする生命の不思議を実感できる。そんな絵本だった。

本を返すときに司書さんに「うちの子にはまだちょっと早いようだったけど、とっても素敵な絵本でした。」と言ったら、司書さんは「そうでしょ、でも大人が楽しめればそれでいいのよ。」と笑顔。子供好きで本好きな司書さんたち。今住んでいる街自体はあまり好きではない私だけど、この図書館に出会えたのは本当によかったと思う。

我が息子は、この絵本を読んであげているときにはあまり集中していないみたいに見えたけど、この絵本を見せた次の日ぐらいから、「あおっ!(青)」と言えるようになった。